目覆布
アイマスクで守られた世界はひどく居心地がよくて、目が覚めているのかいないのかわからなくなる事がある。(それは暗闇の所作でもあるのだが)
こういう状態を夢現というのなら、その夢現の中で沖田は懐かしい記憶を辿っていた。
まだ今よりもずっと幼かった頃
沖田はどこででも眠る子供だった。
「猫みたいだ」と土方に言われたことを覚えている。
「居ないと思って姿を探すと、道場の中で最も快適な場所を選んでお前はいつも眠っていた」って。
それは縁側の陽だまりであり、机の下の影であり、
時に静寂を保った道場の隅であり―
そんな時ふと目を覚ますと、目の前に大きな背中が見えることが時々あった。
手を伸ばせば触れられる距離にあるその背中に、そっと手を添えると
決まってあの人は、こちらを向き、そっと手を握ってくれた。
「どうしたぁ、総悟。恐い夢でもみたのか?」
毎度毎度恐い夢を見ていたんじゃぁ神経衰弱で死んじまいやすぜぃ
子供ながらにそう思ったけれど、それは口に出さずに、
ただ握られた手を強く握り返して、また眠りについた。
もんだと・・・・・・
ぼんやりとそんなことを考えてそっとアイマスクを外すと
あの頃と同じように、大きな背中が目の前にあって―
あーあーそんな風に寝られたんじゃぁ、まったく、お互い成長が無くていけねェや。
自分の甘えを許したくなくて、アイマスクをつけたのは、いつの頃だっただろうか・・・。
そんな事をまたぼんやりと考えながら、手を伸ばす。
俺は大人になったんでィ今度は襲っちまいますぜ、近藤さん
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目覆布は造語、アイマスクのことッス近藤さんと土方さんと沖田はんは小さい頃から一緒が萌え
幼い時の年の差は大きくなってからよりも大きいので沖田はんにとって近藤さんの背中は追うものであってほしいみたいな