それは希望と呼ぶにはあまりにも小さな光だけれど


回答:C



バカもといハタ皇子を差し出せ。と篭城した攘夷派テロリストが、人質に獲った娘の祖父は、左足が義足だった。

自分たちと今、対峙するその人の顔に、怒りの表情は読み取れないというのに、小刻みに震える義足がたてるカタカタという音が、酷く不気味で意味ありげに聞こえるのは、けして気のせいではないと思う。


「そんな事をわしに説明してどうしろというのかね」


陰を含んだシワガレ声の奥に、苦い人生を感じて、

重苦しい空気に胸が詰まる。

(酸素が足りない)


「だいたい、お前ら警察は正義を盾に、一般人を簡単に巻き込むが、一体お前らのどこに正義などがあるというのじゃ」

老人の瞳は深い絶望と諦めの色に染まっている。

(深く深く暗い色)

幕府が俺たちのために存在していない。ということを、こちら側に立つ俺たちでさえはっきりと感じているのだから、一般の人々の鬱積は相当なもので、そのために自分たち現場に偽善のレッテルが貼られることは少ないことではない。

けれども

「ならば貴方は攘夷こそが正義だとでもいうのか」

と、言葉にしそうになった自分の口を、
局長の大きな手が覆った。

局長の目が「何も言うな」とそう語っている。

老爺は暗く落ち窪んだ目で俺たちを見つめている。


俺の口から手を離して局長は、静かに老爺を見据えた。

「じーさん俺はあんまり賢くねーから難しいことはわからねぇが・・・」

フンと老人が鼻を鳴らす。
局長は、怒るでもなく傷つくでもなく、むしろ、微笑みすら浮かべて、

3秒の間の後、

立ち上がった。



「お孫さんは必ず助けます」



絶望の淵に、わずかに揺らめく希望の光が灯った瞬間を、俺は一生忘れない―






 

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He answered 「C」